上尾市議会にて意見書の提出が可決

こちらの意見書を、上尾市議会に提出及び賛成多数で可決されました。

子ども達との約束を一つ守ることができました。

アドバイスやご賛同下さった各議員に感謝いたします。

議第8号議案

埼玉県立高等学校男女別学校において生徒の意見に基づく方針決定を求める意見書

 現在埼玉県には、12校の男女別学県立高校がある。令和5年8月30日埼玉県男女共同参画苦情処理委員は、「埼玉県立高校において、共学化が早期に実現されるべきである」との趣旨の勧告を埼玉県教育委員会に対して行い、令和6年8月31日までに「是正その他の措置」についての報告を求めた。

 埼玉県教育委員会は、勧告を受けて、中学生及び高校生とその保護者に対するアンケートを令和6年4月から5月に実施した。その結果、「共学化した方がよい」と答えたのは中学生で18.7%、高校生で7.8%であった。特に高校生では過半数の57.2%が「共学化しない方がよい」という結果であった。埼玉県教育委員会は令和6年8月22日に措置報告書を提出し、「男女共同参画社会の中において、高校の3年間を男女が互いに協力して学校生活を送ることには意義があり、主体的に共学化推進していくこと」としたうえで、県民の意見を丁寧に把握する必要があるため、埼玉県教育委員会がアンケートや地域別での意見交換、有識者からの意見徴取などを実施するとしている。先に行われたアンケート結果からも、今後更に慎重な議論が求められることは明らかである。

 よって、埼玉県及び埼玉県教育委員会においては、在校生及び進学を目指す生徒の気持ちを第一に考え、埼玉県立高等学校男女別学校において当事者の意見に十分配慮した方針決定を行うことを求める。

以上、地方自治法第 99 条の規定に基づき、意見書を提出する。

令和7年6月20日
上尾市議会
令和7年6月20日
提出者 上尾市議会議員 稲村 久美子
賛成者 上尾市議会議員 荒川 昌佑
 〃     〃    浦和 三郎

以下は、令和5年8月30日付で埼玉県男女共同参画苦情処理委員が埼玉県教育委員会に対して行った勧告についての概要です。

背景と経緯

  • 令和4年(2022年)4月12日、苦情処理委員会に「県立の男子高校が女子の入学を拒否している。これは女子差別撤廃条約に違反しているため、女子の入学を認めるべき」との申し出がありました。
    情報元:埼玉県ホームページ
  • 同様の申し出に対して、2001~2002年度にも勧告が行われており、当時も「一日も早く県立高校をすべて共学化してほしい」との要望が出ていました。
    情報元:埼玉県ホームページ

勧告の内容(令和5年8月30日)

  • 令和5年8月30日付で、埼玉県男女共同参画苦情処理委員(委員長含む3名)が埼玉県教育委員会教育長宛に勧告を実施。
  • 内容は以下の通り
  1. 男女別学校は女子差別撤廃条約に即して直ちに違反とはされないものの、共学教育が強く奨励されることから、「男女共学校その他の教育形態を推進すべき」であること。

  2. 男女別学校における管理職・教職員の男女格差が顕著であるため、それを是正する施策と共に、県立高校全体で「共学化の早期実現」が望ましい。
    情報元:埼玉県ホームページ

対象となる学校数

  • 令和5年4月1日時点で、県立高校137校中12校が男女別学校(男子校5+定時制男子校1、女子校7+定時制女子校1)を維持しており、全体の約8.8%を占めています。
    情報元:埼玉県ホームページ

教育委員会の対応状況

  • 教育委員会は令和6年8月22日に、勧告に基づく措置報告書を提出。
  • この報告書では「共学の推進は重要」としつつ、12校の伝統や県民の多様な意見を尊重しながら、「アンケートや意見交換、有識者意見の収集などを丁寧に実施する必要がある」との姿勢を示しています。
    情報元:埼玉県ホームページ

住民・学生・保護者の反応

  • 教育委員会実施のアンケート(令和6年4〜5月)によると、中学生の「共学化賛成」は18.7%、高校生では7.8%、高校生の57.2%は「共学化しない方がよい」と回答しました。
    情報元:上尾市ホームページ

ポイント整理

  • 勧告内容…共学化の早期実現と男女格差の是正を県教委に要求
  • 仕組み…苦情処理委員は条例に基づく第三者機関で、苦情が妥当と認められれば「勧告」できる権限あり(今回のように重大案件にも踏み込む)
  • 教育委員会の姿勢…共学化の重要性を認めつつ、慎重な住民合意形成・検討プロセスを重視
  • 意見状況…多くの在校生・高校生・保護者等は別学支持が強いという実態あり

解説・論点

  1. 制度としての意味:苦情処理委員会には「条約・条例に基づく問題がある」と判断すれば教育委員会に強く勧告できる権限がある点が明確化された。

  2. 共学化の妥当性・時期:勧告では「早期」に共学化を求めていますが、教育委員会は住民・関係者との意思疎通を優先する姿勢を取っており、実現には時間と合意形成が必要。

  3. 現場の声とのズレ:高校生・保護者の意見は「別学の良さ」を重視する傾向が強く、住民理解を得ずに急ぐと溝が深まる懸念も。

以上が、令和5年8月30日に埼玉県男女共同参画苦情処理委員が提示した「共学化の早期実現に関する勧告」の概要です。